一発逆転の買取
客室1室にホテルスタッフが2人配置され、これまでの日本のホテルにはなかった手厚さである。
ちなみに、なぜラグジュアリーホテルの多くは高層インテリジェントピルの上層階に入居しているのか。
もちろんホテル側としては最高の眺望をゲストに提供できる、ピル側としてもラグジュアリーホテルを入居させることでピルのイメージ・付加価値もグンと高まるというメリットがある。
また東京都ではオフィス以外の用途であれば容積率アップを認める特例措置を設けており、ホテルは公共施設と認められているため、ホテルが入居した高層ビルが実現するわけである。
驚くべきことは、これらラグジュアリー・ホテル(特に2005年以降オープンしたホテル)の宿泊料金である。
どのホテルも1泊最低4〜5万円クラス(実勢)と高額である。
あくまでもミニマム料金であるため平均宿泊料金はもっと高い。
それまでは1泊2〜3万円クラス(実勢)のT国ホテルやWステインホテル、ホテルO〜クラ東京などが「高級ホテル」であり、1泊1〜2万円クラスが「中級ホテル」、1泊1万円以下が「低価格ホテル」というプライスゾーンが存在していた。
1泊4〜5万円の外資系ラグジュアリーホテルの日本上陸によって、プライスゾーンは大きく塗り変わってしまった。
-泊4〜5万円クラスが「高級ホテル」となり、-泊2〜3万円クラスが「中級ホテル」ゾーンに吸収されてしまった感がある。
もちろん日本の老舗ホテルも手をこまねいているわけではなく、ホテルOークラ東京は客室をリラクゼーション施設に改装し、東京Z日空ホテルやT国ホテルも多額の投資により全面的な改装を行っている。
2005年四月にオープンした「Mンダリンオリエンタル東京」は正規料金で1泊最低6万円台からと、おそらく日本で一番高い宿泊料金を打ち出した。
ちなみにそれまでは宿泊料金の高さでは「Pークハイアット東京」(新宿)が5万円台で先頭を走っていた。
外資系ラグジュアリーホテルは「高額プライスゾーン」を新たに創り出しただけでなく、高額プライスゾーンの上限を上へ上へと切り開いている。
かつてコスト・リーダー(先頭を走ってコストダウン、低価格を実現していく)という言葉がよくもてはやされたが、今回の場合はラグジュアリー・リーダーといったところだろうか。
ここ数年、日本のホテル業界の一つの特徴が、「無駄な施設・設備・サービスを省いてより低価格を実現」であったのに対して(コスト・リーダー)、まったく逆のプライス戦略ということになる。
気になるのは、これだけ高額な料金を設定して、どれだけ客室稼働率があるのかということだ。
ラグジユアリー・ホテル戦争はまだ始まったばかりで、オープン記念価格を設定して、トライアル客も多いため、「真の実力」を評価するには時期尚早ではあるだろう。
ホテルによって稼働率にはかなりバラツキがあるようだが、おおよそ客室稼働率は悪いというわけではない。
これら外資系ラグジュアリーホテルのメイン顧客は「外国人エグゼクティブ」である。
国際的に華々しく活躍する外国人エグゼクティブたちは、海外で「ザ・Rツカールトン」や「Mンダリンオリエンタル」、「Cンラッド」などのラグジュアリーホテルを常宿にしている。
ホテル設備・施設の豪華さだけではなく、「スモール」がゆえに行き届いたサービスとおもてなしに慣れ親しみ、かつ心より満足している彼ら彼女たちが、国際都市・東京でも同じようなハイエンドなサービスを提供するラグジュアリーホテルに宿泊したいと考えるのは当然であろう。
海外での上得意客の多くから「日本(東京)でも宿泊したいした理由ともいわれている。
外資系エグゼクティブにとっては、おそらく「中経ホテル」は比較検討対象にならない。
同じような「高級ホテル(スモールラグジュアリー)」で比較するか、滞在期間が長ければでも紹介した「サービスアパートメント(家具付メイドサービス付の高級賃貸マンションになってくるだろう。
外資系ラグジュアリーホテルはわずか数年で、「外国人エグゼクティブの日本滞在場所」という一つのマーケットを確立してしまった。
外資系ラグジュアリーホテルが狙う次の顧客はもちろん「日本のリッチ」である。
特に若い頃から仕事やプライベートで海外の一流ホテルを利用し、その贅沢さやサービスの高さを何度も経験したことのあるニューリッチは大きなターゲットになる。
それも地方に住むニューリッチではなく都心に住むニューリッチだ。
日本人にとってホテルの使い方の主流は出張や旅行である。
自宅から離れた場所にあるホテルに宿泊する。
近年はニューリッチを中心に、海外リゾートに行くかのように、近くのシティホテルに宿泊する人が増えてきた。
出張や旅行のために宿泊するのではなく、宿泊することが目的でシティホテルを利用しているのである。
その傾向は、レディースプラン利用客の好調さからも窺える。
仕事の後、早めにチェックインして、ホテル内で食事をし、スパやフィットネス、マッサージを満喫する。
ホテルで心身ともにリラクゼーションを享受し、英気を養う。
そんなライフスタイルを愛するニューリッチが増えてきた。
その動きは女性から男性へと広がっている。
男性向けの宿泊プラン(メンズプラン)の利用客も少しずつ拡大している。
忙しい人たちにとって休暇をとって海外旅行に行くのは難しいが、シティホテルでの1泊であれば何とか時間のやりくりができる。
数分前まで必死に仕事をしていても、ホテルにチェックインした途端、日常から非日常に切り替えができるのだ。
ラグジュアリーホテルの多くは、「Rイヤルパーク汐留タワー」の「Mンダラ・スパ」など、高級スパを併設している。
海外旅行では一流ホテルに宿泊して、スパで2〜3万円のトリートメントを楽しむニューリッチが、国内で全く同じようなラグジュアリー消費に目覚めたとしたら、「スモールラグジユアリー」マーケットは活気づきそうだ。
バブル崩壊後のレジャーといえば、長らく「安・近・短」がキーワードであった。
消費者はインターネットや旅行情報誌などをくまなく探して、一番安い航空券、一番おトクなツアーを見つけ出す。
レジャー施設の入場券も、ディスカウントショップを何軒もまわって「底値」を探し出す。
いろんな商品の「底値」を比較するサイトも大人気だ。
事業者側も「安・近・短」を実現するために、サービスを極力省く努力をしていった。
旅行であれば観光地めぐりや食事を省いたプラン、ゴルフであればノーキャディでMHをスルーでラウンドするパブリックコース、インターネットによるチケット購入など、極力事業者側の「手間」(特に人件費)を省くことで、低価格を実現してきた。
景気回復に伴って、やはり「安・近・短」では満足できない人たちが増えてきた。
例えばゴルフの場合、自分でゴルフバッグをカートに積んで、自分でカートを運転し、コースも読んで、売店のホットドックを食べながらMHをスルーでラウンドする「パブリックスタイル」では楽しめないという話は(年配の人から)よく聞く。
また料金が引き下げられたことで予約が殺到し、予約が取りにくくなったという話も聞く。
やはり多少料金は高くとも、メンバーシップで土日は会員が優先的に予約でき、キャディーがついて、レストランでゆっくりできる、昔ながらのゴルフスタイルを望む人は多い。
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